プロフィール

ディオティマ弦楽四重奏団
Quatuor Diotima

1996年、パリ国立高等音楽院を卒業したメンバーで結成された。いま世界で非常に高い人気を持つ弦楽四重奏団である。

『ディオティマ』という名は、音楽的に二重の意味を想起させるものだ。一つ目はドイツのロマン主義への寓意で、ドイツの詩人ヘルダーリンが「ヒュペーリオン」に登場するヒロインにこの名を与えている。そしてルイジ・ノーノが弦楽四重奏曲「断章=静寂、ディオティマへ」で現代音楽への決起の叫び声をあげた。

ピエール・ブーレーズ、ヘルムート・ラッヘンマンなど20世紀後半の偉大な作曲家たちと緊密な共同作業を行ってきた。また細川俊夫、ミロスラフ・スルンカ、アルベルト・ポサダス、マウロ・ランツァ、ジェラール・ペソン、レベッカ・サンダース、トリスタン・ミュライユなど現代を代表する優れた作曲家たちに新作を委嘱してきている。

ベートーヴェン、シューベルト、新ウィーン楽派(シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン)、ヤナーチェク、ドビュッシー、ラヴェル、バルトークなど、19世紀や20世紀の傑作にも新たな光を当てている。

ディスコグラフィーも極めて豊富だ。近年の主なものとしてはベラ・バルトークの弦楽四重奏曲全集(2019、ナイーヴ)、新ウィーン楽派作品集(2016、ナイーヴ)などがある。

2016年には“ディオティマ・コレクション”を始動させ、現代の主要な作曲家作品を採り上げてきた。2021年はジェラール・ペッソン、エンノ・ポッペ、ステファノ・ジェルヴァゾーニ、そしてマウリシオ・ソテロの4人の録音をリリースした。

ペンタトーンレーベルとの新たなコラボレーションの始まりとして、2023年のジェルジュ・リゲティ生誕100周年にあたりリゲティに捧げたアルバムをリリースする。グラモフォン誌が「このディスクはこのさき長くリゲティの弦楽四重奏曲の決定盤となるだろう」などと絶賛を浴びた。

2019年から21年までラジオ・フランスのレジデント・アーティストを務めた。これは弦楽四重奏団としては史上初めてのことであった。

またサントル=ヴァル・ド・ロワール地方で14年間にわたりレジデントを務めた後、現在はグラン・エスト地方を新たな拠点としている。ドイツとスイスとの強い文化的つながりはレパートリーやヨーロッパのパートナーたちに影響を及ぼしている。このレジデンスにおいては、若手作曲家や弦楽四重奏団を招聘するシテ・ミュジカル・メッツと提携し教育分野を発展させている。加えてストラスブールでの室内楽シリーズ、あるいはミレクールのエコール・ナショナル・ド・リューテリエでの教育レジデンスを通じ、室内楽、弦楽四重奏というジャンルの存在感を地域全体において高めている。

若手アーティストの指導や育成にも積極的で、エクサンプロヴァンス音楽祭アカデミーにおけるアソシエート・アーティストやシカゴ大学のアーティスト・イン・レジデンスを務めているほか、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、パリ国立高等音楽・舞踊学校、レッジョ・エミリアのカーデ・デル・クァルテット、そしてヨーク大学においてマスタークラスを開いている。

世界有数のホールやコンサート・シリーズに定期的に出演しており、今シーズンはジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンをツアーし、エルンスト・フォン・ジーメンス音楽財団の50周年記念コンサートにも呼ばれている。

ベルリンのピエール・ブーレーズ・ザール、ロンドンのキングス・プレイス、ブリュッセルのボザール、シュトゥットガルトのリーダーハレ、マドリード芸術協会、ルクセンブルク・フィルハーモニー、フィレンツェ・アミーチ・デッラ・ムジカ、ハンブルクのエルプフィルハーモニーなどでふたたび演奏する。2024年の春には日本、韓国、そして中国へもツアーする。またパリ・フィルハーモニーではオーガスタ・リード・トーマスおよびマルク・モネの新作を演奏する。

フランス文化省およびグラン・エスト地域圏の助成を受けているほか、SACEM、アンスティチュ・フランセ、スペディダム、アダミ、および個人の篤志家からの支援を受けている。またPROFEDIM、Futurs Composés、FEVISのメンバーである。